Interview.02

増山 健

Ken Masuyama

2008年  3月 私立武蔵高校 卒業
2012年  3月 京都大学法学部 卒業
2014年  3月 京都大学法科大学院 卒業
2015年  12月 司法修習修了(第68期)、弁護士登録(大阪弁護士会)

どうして当事務所で
働くことを選んだのか

当時はどの事務所も大変魅力的にみえましたが、当事務所は新たに入ってくる弁護士に「中興の祖」になることを期待しており、そして実際にアソシエイトにも主体的に動く人が多かったのが決め手になりました。
弁護士の業務は忙しいので、ついつい日々の案件に忙殺されがちだと聞いていましたが、弁護士会の委員会や研究会活動に参加したり、外部での見聞を広めたりするということも大切だと思っていました。当事務所の若手には、そうした意識を持っている人が多く、ただ事務所の案件を受動的にこなしているだけではない、というのが私にとっては印象的でした。キャリアについても、上からの押し付けはなく、各若手が自分の興味・関心に沿って色々と考えているように見えました。
また、事務所全体の方針にもアソシエイトが積極的に意見できる風通しの良さを感じたのも大きなきっかけでした。当時、学生である私が目の前にいるのに、3年目のアソシエイトが、30年目の大パートナーに事務所の経営方針に関する意見をし始めて、私は一瞬ヒヤヒヤしたのですが、そのパートナーが真剣に耳を傾けていたのが今でも記憶に残っています。

当事務所はどのような事務所か

弁護士の個性が尊重される事務所だと思います。弁護士業務というのは王道や正解というものがなく、個人のスタイルが多分にあるものですが、当事務所で他の弁護士と一緒に仕事をしていると、本当に多様なやり方があって勉強になります。事件の進め方や顧客との付き合い方、日々の研鑽の方法、何をとっても同僚弁護士からは年齢や性別を問わず刺激を受けることばかりです。
当事務所の大阪事務所では、アソシエイトの間に5つある専門部を全て回るという仕組みがありますが、色々な弁護士の働き方を知ることができるというのがこの仕組みの一番のメリットだと私は思っています。色々なやり方の中から、自分に合うものを盗んで、少しずつ自分のものにしていけば良いのです。
個性の尊重というと、突き抜けていれば良いと誤解されがちですが、必ずしもそうではないと思っています。みなそれぞれ違った人生を歩んできたわけですから、いわゆる個性の「突き抜けた」人ではなくとも、何か弁護士業務に活きる長所や特徴があるはずです。当事務所では、若手のうちにそれを見つけて開花させる環境があると思っています。

現在はどのような業務、案件に携わっているか

香港に2年半ほど留学していた関係で、何らかの形で香港や中国、海外が絡む案件(渉外案件)が半分程度を占めています。渉外案件といっても、日本企業や日本人が海外に進出したり海外でトラブルに巻き込まれたといったようなアウトバウンド案件と、外国企業や外国人が日本でビジネスをしたり紛争になったりというインバウンド案件がありますが、私の場合はインバウンド案件が多いです。外国企業が日本企業に出資する案件や、日本国内での債権回収、外国人の不動産投資といった例があるほか、在日外国人からの一般民事や家事事件に関する相談もあります。日本法弁護士としての資格をフル活用しながら、言語や文化の違いを意識しつつコミュニケーションを取るのは、難しいですが面白さを感じます。
また、もともと知財案件に興味があったこともあり、知財案件もメイン分野の一つです。コンテンツ制作会社やタレントマネジメント事務所からの相談や、著作権・デザイン絡み、いわゆる非技術系知財の案件が多いですね。また、昨年からは京都産業大学でも著作権法の非常勤講師を務めています。昨年の秋は、毎週レジュメを作るのがしんどすぎて倒れそうになりましたが、学生に「わかりやすい」と言ってもらえると嬉しいです。

留学を経験されていると伺ったが、
それらの経験は現在の業務に
どのように活かされているか

もともと英語が得意というわけでもなく、留学前は渉外案件をほとんどやっていませんでしたので、正直留学を機にがらりと取扱業務が変わりました。今では毎日のように英語でメールやミーティングをしているのが自分でも信じられないくらいです。あと、私が香港に留学していたのは、ちょうど日本でも報道された民主化デモの真っ最中の時期で、流れ弾の催涙ガスを浴びたりしたので、業務というレベルではなく、人生観自体が大きく影響を受けました。
香港では、ロースクールで1年学んだ後、現地法律事務所に1年半勤務しました。香港に留学してくる日本人弁護士は相当レアですから、日本人のクラスメイトや同僚などは全くおらず、毎日無理やりにでも英語を話す環境にあったのが良かったです。現地事務所でも良い意味でお客さん扱いされず、むしろ給与に見合った働きをするように求められましたので、毎日普通に忙しく、同世代の香港人アソシエイトと一緒に深夜まで働いて夜食を食べて帰ったりしていたのが良い思い出です。そのおかげで、英語を使って弁護士として働く能力が多少なり鍛えられたのかもしれません。また、香港は多文化社会ですから、多種多様なバックグラウンドを持つ人と接する機会がありました。現在の業務でも、外国人のクライアントと接する際にこの経験が役に立っていると感じます。
まだまだ未熟ではありますが、充実した2年半のおかげで、現在の業務ができています。

5年後や10年後のキャリアビジョンは
どのようなものでしょうか

既に述べたインバウンド業務をもっと伸ばしていきたいと思っています。今は香港や中華圏のクライアントから日本国内の業務を依頼されることが多いのですが、欧米や中東といったところからももっと相談が来るように、研鑽を重ねていきたいですね。
インバウンド業務を中心にやっていると、特定の分野の「専門性」よりかは、むしろ、税務や登記、ビザといった隣接分野を含めた「幅広い総合力」の方が求められていると感じます。例えば、外国企業が日本企業を買収する時には、デューデリジェンスや契約書の作成だけではなく、どういったスキームを組めば節税になるか、登記変更をどう進めるのがベストか、外国人役員のビザ申請は可能か、といったことも含めて相談されることがあります。通常の国内の弁護士業務をやっているとこの辺りはなかなかわからない分野だと思います。今後5年で、こういったインバウンド法務特有の知識と経験を蓄え、隣接士業と連携できる環境を整えていきたいと思っています。さらに10年後には、こうした業務を一緒に扱ってくれる弁護士や他士業を組み込んだチームを所内で作れたら良いなという夢を持っています。

弁護士を目指している方や、
当法人への入所を検討されている方へのメッセージ

弁護士として楽しく仕事をしていくためには、一つの正解のようなものはなく、人それぞれに合ったキャリアの築き方があると思います。当事務所では、敷かれたレールはありませんし、出向や留学を強制されることもありません。それゆえのしんどさもあるかもしれませんが、自ら調べ自ら考えることのできる方には、非常に自由なキャリア形成ができる環境です。
とはいえ、実務家になった後に最低限身に着けるべき能力というのは確かに存在していて、例えば、最初の数年間で、訴訟での書面の書き方や尋問のやり方、契約書の作り方や読み方、交渉の仕方等を学び、使いこなせるようにならなければなりません。それらを十分に養った上で、個性を活かしながら、専門性を磨くべきでしょう。こうしたジェネラリストとしての「総合力」を鍛えられる環境があるかどうかも、事務所選びにあたっては重要な要素だと思いますが、当事務所にはそれが備わっていると自負しています。 夢ある皆さんとお会いできることを楽しみにしています。