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YGLPCメールマガジン第30号(2014年11月28日発行)

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         弁護士法人淀屋橋・山上合同

 

        ★ YGLPCメールマガジン第30号 ★

 

  〜 労働法最前線 

      妊娠中の軽易業務転換を契機とする降格の可否

                                         その他3記事〜

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             今号の目次

           

1.労働法最前線

  妊娠中の軽易業務転換を契機とする降格の可否

 

2.来年から相続税はどうなるの?

 

3.シンガポール国際商事裁判所

  設立のための関連法案が可決されたシンガポール国際商事裁判所の概要

 

4.YGLPC連続セミナー開催のお知らせ

   〜『改正労働契約法及び改正パートタイム労働法に対する実務対応』〜

 

過去のバックナンバー

 https://www.yglpc.com/wp/mailmag/index.html

 

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【労働法最前線】

 

 今回ご紹介するのは、巷で「マタハラ訴訟」などと呼ばれている最高裁第一小法

廷の平成26年10月23日判決です。もっとも、実際には、この事件は「マタハ

ラ」の事案ではありませんし、最高裁は「マタハラ」等の語句を一切使っておりま

せんので、マスコミ等の報道はミスリードというほかないでしょう。

 さて、この事件では、妊娠中の軽易業務への転換を契機として、副主任から降格

することの適否が争われました。妊娠中に女性労働者が希望する軽易業務に転換さ

せることは、使用者の義務ですが(労基法65条3項)、これを理由として降格する

ことが、男女雇用機会均等法9条3項が禁じる不利益取扱いに該当するか否か、が

争われたのです。

 最高裁は、以下のように判断し、イについて審理を尽くさせるため、原審の広島

高裁に審理を差し戻しました。

ア 女性労働者につき妊娠中の軽易業務への転換を契機とする降格は、原則として

 男女雇用機会均等法9条3項の不利益取扱いに当たる。

イ しかしながら、当該女性労働者が、自由な意思に基づいて降格を承諾したもの

 と認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するとき、又は、業務上の必要性

 その他から男女雇用機会均等法9 条3項の趣旨・目的に実質的に反しないもの

 と認められる特段の事情があるときは、例外的に不利益取扱いに当たらない。

 

 上記アについては異論が少ないところですので、本判決の意義は、上記イのとお

り、例外的に降格が許容される場合について判断基準を設けた点にあります。最高

裁は、自由な意思や「特段の事情」の存否の判断基準も提示しており、特に「特段

の事情」の存否について、今後の裁判所の動向を注目する必要があります。

 また、この判決には、「育児休業中の労働者に配置については、休業する女性労

働者の復帰を前提に勘案して配置しなければならない」旨の、実務上波紋を呼びそ

うな櫻井龍子判事の補足意見が付されています。

 上記判決自体は、降格に関するものですが、その判断は、妊娠を理由とする不利

益取扱い一般に及ぶものと思われます。女性の妊娠、出産、育児休業等を巡る労務

管理については、同女性労働者のみならず、他の労働者も含めて一層細やかな配慮

をすることが求められます。実務上小さくない影響を与える判決ですので、ご紹介

する次第です。

 

<この記事に関するお問い合わせ先>

 弁護士 白 石 浩 亮

  TEL:  06−6202−3324

  E-mail: k-shiraishi@yglpc.com

 

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【来年から相続税はどうなるの?】

1 はじめに

 平成25年度の税制改正により、相続税法が改正され、来年(平成27年)1月

1日以後に開始する相続については、基礎控除額が大幅に縮小されることになって

います。これにより、これまでは相続税がかからない程度の遺産であったものが、

今後は、相続税の対象となって申告が必要となるというケースが増大することにな

ります。

 そこで、今回は、どのような場合に相続税がかかるのか、あらかじめ何か対策で

きることはないのかということについてお話ししたいと思います。

 

2 相続税の仕組み

 相続税は、遺産の総額が基礎控除額を上回る場合に申告が必要となります。この

基礎控除額は、今年の年末までに開始した相続であれば、下記のとおり計算されま

す。

 基礎控除額 = 5,000万円 +(1,000万円×法定相続人の数)

 

 例えば、配偶者と子供2人が相続人となる場合には、8,000万円が基礎控除額と

なり、遺産の総額がこれを上回らない限りは、相続税はかからないことになります。

 これに対して、来年の1月1日以降は、下記のとおり基礎控除額が40%縮小さ

れることになります。

 基礎控除額 = 3,000万円 +(600万円×法定相続人の数)

 

 さきほどの配偶者と子供2人の例では、4,800万円が基礎控除額となりますので、

遺産の総額がそれ以上であれば、相続税の申告が必要になります。預貯金などの金

融資産がそれほど多くなくても、例えば、自宅不動産を所有している場合、その評

価額によっては基礎控除額を上回ることがあります。

この基礎控除額の縮小により、特に都市部では、相続税申告の対象者が倍以上にな

るということも予想されています。

 

3 相続税の対策

 それでは、基礎控除額の縮小を踏まえて、いまから何か対策できることはないの

でしょうか。例えば、孫に対する生前贈与を活用するというのもひとつの方法でしょ

うし、金融資産を収益不動産に変えるというのもひとつの方法となり得ます。ただ、

これついては、相続人間の関係も考慮する必要がありますし、決まった答えがある

わけではありません。

 それでも、現時点において、相続税がかかるのかということを知っておいた上で、

もし相続税がかかるのであれば、あらかじめ何らかの対策をしておくことは、今の

時代には必要不可欠になってきたということがいえると思います。

 

4 申告要否の判定

 そこで、最後に、相続税の申告が必要かどうかを自宅で簡単にシミュレーション

できるシートをご紹介いたします。国税庁がホームページ上で公開しているもので

あり、相続人の数や遺産の概算額を入力することにより、相続税の申告の要否を簡

易判定することができます。

https://www.nta.go.jp/souzoku-tokushu/souzok-kanihanteih27.pdf

 

<この記事に関するお問い合わせ先>

  弁護士 木 村 浩 之   

  TEL:06-6202-4162     

  E-mail:h-kimura@yglpc.com

 

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【シンガポール国際商事裁判所】

設立のための関連法案が可決されたシンガポール国際商事裁判所の概要

上記の詳しい内容については、次のコラム記事をご参照下さい。

 

■コラム

 https://www.yglpc.com/wp/column/201412.html

 

<この記事に関するお問い合わせ先>

 弁護士 大林 良寛

  E-mail: y-obayashi@yglpc.com

 

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【YGLPC連続セミナー開催のお知らせ】

 『改正労働契約法及び改正パートタイム労働法に対する実務対応』

 

 当法人において、「YGLPC連続セミナー」を定期的に開催させていただいておりま

すが、第5回として、平成26年12月10日に、「改正労働契約法及び改正パートタ

イム労働法に対する実務対応」をテーマとして、当法人の米田秀実弁護士及び佐藤

康行弁護士がセミナーを開催いたします。

 上記セミナーの詳細・お申込みついては、以下よりお願いいたします。

 お気軽にご参加ください。

 https://www.yglpc.com/wp/news/20140114.html

 

<上記セミナーに関するお問い合わせ先>

弁護士 佐 藤 康 行

TEL:  06−6202−3460

E-mail: y-sato@yglpc.com

 

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・発行者:弁護士法人淀屋橋・山上合同

・発行日:2014年11月28日発行

 

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