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YGLPCメールマガジン第22号(2014年3月28日発行)

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         弁護士法人淀屋橋・山上合同

 

        ★ YGLPCメールマガジン第22号 ★

 

  〜退職勧奨を断った従業員に対する出向命令を権利濫用とした裁判例

                                                その他2記事〜

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            今号の目次

           

 1.労働法最前線

  退職勧奨を断った従業員に対する出向命令を権利濫用とした裁判例

 

  2.シンガポールにおけるハラスメント規制

   シンガポールで最近可決されたハラスメント保護法案って何?

 

 3.YGLPC連続セミナー開催のお知らせ

     第2回(4月9日)

  「交通事故を起こした、あるいは、遭遇した場合に、すべきこと」 

 

 過去のバックナンバー

 https://www.yglpc.com/wp/mailmag/index.html

 

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【労働法最前線】

 退職勧奨を断った従業員に対する出向命令を、

      権利濫用とした裁判例(リコー事件)

 

 先般、従業員の自主退職を促すために、それまでのキャリアから

かけ離れた部署等に異動させる手法について、

いわゆる「追い出し部屋」問題などと呼称され、退職強要に繋がるとして

問題視されていました。昨年1月29日に厚労省が結果を報告した

「退職強要の有無等に関する調査」においても言及されており、

厚労省も関心をもっています。

 

 今回ご紹介するリコー事件(東京地裁平成25年11月29日)では、

主として退職勧奨を断った従業員に対する出向命令が

権利濫用に当たるか否かが争われました。

 問題の出向命令は、社内外での表彰を受けている勤続26年の技術系の従業員と、

社内での表彰を受けている勤続13年の技術系の従業員に対して、

子会社で梱包等の業務に従事するよう出向を命じるものですが、

出向に伴う降格・降級はありませんでした。

 

 東京地裁は、

ア 出向を命ずる業務上の必要性、

イ 人選の合理性(対象人数、人選基準、人選目的等の合理性)、

ウ 出向者である労働者に与える職業上又は生活上の不利益、

エ 当該出向命令に至る動機・目的等

を勘案して判断すべきであるとした上で、業務上の必要性は肯定したものの、

出向後の立ち仕事や単純作業中心の業務が、

一貫してデスクワークに従事していた原告らに対するキャリアや年齢に配慮した

異動とは言い難く、原告らの負担が大きいことを指摘し、更に、原告らを含めた

希望退職を断った従業員全員が生産又は物流の現場への出向の対象になっていること等の

事実からすれば、出向命令は、退職勧奨を断った原告らが翻意し、

自主退職に踏み切ることを期待して行われたものであるとして、出向命令は権利の

濫用であり無効と判断しました。

 

 なお、本件では、出向命令が不法行為に該当することや、

明確な拒絶後にも複数回にわたり退職勧奨したことが不法行為に該当するかが争われましたが、

いずれも不法行為の成立は否定されました。この点も、この判決の特徴として指摘できます。

 

 本件では、リコーが即日控訴したため、上記の判断は確定しておらず、控訴審の結論が待たれます。

しかしながら、従業員のキャリアとの関係で、不利益性を判断した点や、

出向の目的について具体的に判断した一事例として、

出向の人事異動の際の参考になると思われますので、ご紹介する次第です。

 

 

<この記事に関するお問い合わせ先>

 弁護士 白石 浩亮

 TEL:  06−6202−3324

 E-mail: k-shiraishi@yglpc.com

 

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【シンガポールにおけるハラスメント規制】

 

(1)2014年3月13日、ハラスメント及び反社会的行為を規制対象とするハラスメント保護法に関する法案(The Protection From Harassment Bill。以下「ハラスメント保護法案」といいます)が、シンガポールの国会で賛成多数で可決されました。

   シンガポールでは、従来、それらの行為に関する規制は、The Miscellaneous Offences

    (Public Order and Nuisance) Actや、コモンロー(判例法)によりなされていましたが、今般、単一の法律により規制をするために、ハラスメント保護法の作成が進められてきていました(実際に、ハラスメント保護法が制定された場合、The Miscellaneous Offences (Public Order and Nuisance) Actの一部は廃止され、コモンロー(判例法)も適用されないということが明記されています)。

 

(2)ハラスメント保護法案は、従来の法制度と比較すると、より広範な行為が規制対象となっており、かつ、迅速・簡易な手続きにより被害者保護を図ることを目的とされています。

   また、同法案は、職場でのハラスメント等のみならず、学校におけるいじめも規制対象としており、その規制対象は、広範であるといえます。

   さらに、インターネット等を利用したサイバーハラスメントについても明記されたことも特徴であるといえます。

   今回の法改正は、個人間のトラブルを規制するだけにはとどまらず、シンガポール内の日系企業においても、今回の法改正を踏まえて、より適切なハラスメントに関するポリシーを導入する必要があると思われますので、法案段階ではありますが、以下、その内容を概観します

 

   詳しくは、次のコラムをご参照ください。

   https://www.yglpc.com/wp/column/201406.html

 

 

<この記事に関するお問い合わせ先>

 弁護士 大林 良寛

 E-mail: y-obayashi@yglpc.com

 

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【YGLPC連続セミナー開催のお知らせ】

 

 当法人において、「YGLPC連続セミナー」を定期的に開催させていただいておりますが、

第2回として、平成26年4月9日に、

「交通事故を起こした、あるいは、遭遇した場合に、すべきこと」をテーマとして、

当法人の鈴木勝博弁護士がセミナーを開催いたします。

同セミナーにて取り上げる内容については、下記を予定しております。

 

              記

 どんなに注意しても交通事故を起こしてしまったり、あるいは、遭遇してしまうことがあります。

 交通事故は、初動が大事です。

 交通事故を起こした時に、相手方に対してどういう行動をとればよいのか、

交通事故によって怪我をした場合に、後遺障害等級を獲得するために、

どういう症状を医師に伝えればよいのか、等、

基本的に知っておくべき事柄を中心にご説明いたします。

 

 また、交通事故の処理として、どういう場合にどういう手続をとるのがよいのか、

どういう弁護士を選任するのがよいのか、についても、合わせてご説明いたします。

 

 

上記セミナーの詳細・お申込みついては、以下よりお願いいたします。

お気軽にご参加ください。

https://www.yglpc.com/wp/news/20140114.html

 

 

<上記セミナーに関するお問い合わせ先>

 弁護士 鈴木 勝博

 TEL:  06-6202-3501

 E-mail: k-suzuki@yglpc.com

 

 

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・発行者:弁護士法人淀屋橋・山上合同

・発行日:2014年3月28日発行

 

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