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YGLPCメールマガジン第21号(2014年2月24日発行)

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         弁護士法人淀屋橋・山上合同

 

        ★ YGLPCメールマガジン第21号 ★

 

  〜 労働法最前線 最高裁、事業場外労働のみなし時間制の適用を否定

                    (阪急トラベルサポート事件)

                                                その他3記事〜

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             今号の目次

           

 1.労働法最前線 〜阪急トラベルサポート事件〜

   最高裁が、事業場外労働のみなし時間制の適用を否定しました。

 

 2.中国法トピックス

   中国では、2014年3月1日から改正「会社法」及び新「労務派遣暫定規定」

     が施行されます。

 

  3.改正インサイダー規制への対応

   大幅に改正されたインサイダー規制が平成26年4月1日施行へ!

 

 4. 性別変更審判と親子関係に関する最高裁決定(H25.12.10)

     性別変更審判を受けた夫(元女性)の妻が出産した子の父は誰?

 

  過去のバックナンバー

 https://www.yglpc.com/wp/mailmag/index.html

 

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【労働法最前線】

 

 労働者が事業場の外で働く場合、労働時間を常に把握できるとは限りません。

 そこで、労働基準法38条の2は、事業場外で労働する労働者について、その

労働時間を算定することが困難な場合には、所定労働時間(又は業務遂行に通常

必要とされる時間)労働したものとみなすことができるとしました。 これを、

事業場外労働のみなし時間制といいます。外回りの営業社員等を中心に、多くの

企業がこのみなし時間制を導入しています。古くから、この制度の適用の可否が

争われていますが、今般、この点に関して最高裁が初めて判断を示しました。

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=83887&hanreiKbn=02

 

 旅行業を営む会社へ派遣された社員について、同社が企画する国内・海外旅行

の添乗業務が「労働時間を算定しがたい」か否かが争われた3つの事件の内海外

旅行の添乗業務について、最高裁は、同業務の内容・性質を詳細に検討し、会社

が添乗員に対し、予め定めた旅程の管理等の業務の遂行を具体的に指示し、旅程

に相応の変更を要する場合にはその時点で個別の指示を行い、後日添乗日報によ

って業務の遂行の状況等につき詳細な報告を受け、かつ、この報告の正確性を確

認することができることから、本件添乗業務については、これに従事する添乗員

の勤務の状況を具体的に把握することが困難であったとは認め難いとして、前記

みなし時間制の適用を否定しました。

 なお、本件のほかに、国内旅行、及び国内・海外旅行の混合添乗業務についても

同様の訴訟が係属していましたが、最高裁は上記判決と同じ日(平成26年1月

24日)に、派遣会社の上告を棄却し、上告受理についても不受理決定していま

すので、やはり事業場外労働のみなし時間制の適用が否定されました。

 

 もっとも、本件は事例判断にすぎません。事業場外の業務の内容・予定を会社

が指示していること、その変更は会社の指示によること、後日詳細な業務報告が

ありその報告の正確性も確認可能なこと、を指摘した上で、みなし時間制の適用

を否定していますので、外回り業務一般について同みなし時間制の適用を一律に

否定するものではないと思われます。

 どのような場合に適用が肯定されるのかは、裁判例の集積を待つほかありません

が、今後の実務に大いに参考となる判決ですので、ご紹介する次第です。

 

<この記事に関するお問い合わせ先>

  弁護士 白石 浩亮

      TEL:  06-6202-3324

      E-mail: k-shiraishi@yglpc.com

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【中国法トピックス】

 

(1) 中国では、2014年3月1日から、改正「会社法」及び新たに制定された「労務

   派遣暫定規定」が施行されます。

 

(2) 改正会社法〜最低資本金制度の廃止等〜

  中国全人代常務委員会は、2013年12月28日、中国会社法(原文:中華人民共和

国公司法)の改正を可決し、2014年3月1日からの施行を決定しました。

 

  今回の改正は、「会社資本に関する規制緩和」ということができ、具体的には、

 1.最低資本金制度の廃止、2.初回出資額及び払込時期に関する規制の撤廃

 3.営業許可証への払込済資本金の不記載、4.験資証明制度の廃止

 5.現物出資比率の上限の撤廃、6.株主の出資額の非登記化

の点が改正されています。

 但し、外商投資企業には、会社法の他、特別法として、

いわゆる「外資三法」(「外資企業法」、「中外合資経営企業法」、「中外合作経営企業

法」)とその実施細則等が適用されますが、外資三法については、2013年12月から

中国商務部が、外資三法に関する修正に関する公開意見の募集を開始されている状

況で、今後、その動向を注視していく必要があります。

 

(3) 労務派遣暫定規定〜派遣雇用比率が10%以下に〜

  中国人力資源社会保障部は、2014年1月24日、労務派遣に関する最新規定「労務

派遣暫定規定」(原文:労務派遣暫行規定。以下「暫定規定」といいます。)を公布し

2014年3月1日から施行されます。

  今回新たに公布された暫定規定は、昨年施行の改正労働契約法おいて不明確であっ

たいくつかの点について内容を明確化したものであり、主要な点としては、労務派遣

の雇用部署、雇用比率及び雇用比率調整の経過措置、派遣労働者の派遣元企業への送

り戻しの条件及び経済補償、並びに地区を跨ぐ労務派遣の社会保険等の分野に関して

より具体的な規定を設けています。特に、派遣労働者の雇用比率を、雇用総数の10%

以下にしなければならないと具体的な比率を規定し、これに関する経過措置を規定し

ている、及び労務派遣を用いることができる要件の一つである「補助性」について労

務派遣先企業に対して定められて社内手続きについては、速やかに対応を検討する必

要があるといえます。

 

(4) 上記の改正会社法及び労務派遣暫定規定の詳しい内容については、次のコラム記

事をご参照下さい。

  ■中国法:中国会社法の改正の概要〜1人民元で会社設立?〜

     https://www.yglpc.com/wp/column/201403.html

 

  ■中国法:中国「労務派遣暫定規定」の公布〜派遣労働者の総量規制の具体化等〜

     https://www.yglpc.com/wp/column/201404.html

 

【参考URL】

(1) 改正会社法(中国全人代HP)

  http://www.npc.gov.cn/npc/xinwen/2013-12/30/content_1821988.htm

 

(2) 外資三法に対する公開意見募集((中国商務部HP)

  http://tfs.mofcom.gov.cn/article/as/201312/20131200417369.shtml

 

(3) 労務派遣暫定規定全文(中国人力資源社会保障部HP)

http://www.mohrss.gov.cn/SYrlzyhshbzb/ldbk/laodongguanxi/
LDGXzonghe/201401/t20140126_123297.htm

 

 

<この記事に関するお問い合わせ先>

  弁護士 金 大よう

         E-mail: d-kin@yglpc.com

 

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【改正インサイダー規制への対応 H26.4.1施行】

 

 平成26年4月1日から、平成25年改正金商法のうち、REITについてのインサイダー規

制の導入、情報伝達・取引推奨行為への刑事罰・課徴金の導入等の規定が施行されます。

インサイダー規制は、上場会社等の「会社関係者」が、未公表の「重要事実」を知って、

その公表前に当該上場会社等の株券等を売買することを禁止するものですが、REITについ

てのインサイダー規制においては、第1に「会社関係者」について、上場REIT、その資産

運用会社、資産運用会社の特定関係法人(親会社等)の役職員も含むもの、第2に、「重要

事実」についても、上場REIT、その資産運用会社の双方について定めが置かれる特有の形

式がとられています。

 また、インサイダー規制に関しては、平成24年改正金商法等によって、純粋持株会社に

ついて重要事実の軽微基準を連結ベースの計数に統一する改正、及びTOB事実に関するイン

サイダー規制上の公表措置の見直し等重要な改正がなされ、平成25年9月6日に既に施行さ

れているところです。平成26年4月1日の改正金商法の施行前に、担当者の方は、改正後の

インサイダー規制の全容を正確に把握しておくとともに、今般の改正に伴って社内規定を見

直す必要がないかの確認が必須となります。

 

<この記事に関するお問い合わせ先>

 弁護士 井口 敦

     TEL: 03-6267-1232

     E-mail: a-iguchi@yglpc.com

 

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【性別変更審判と親子関係に関する最高裁決定(H25.12.10)】

 

(1) 昨年12月、最高裁判所は、性同一性障害により性別変更審判を受けた男性(元女性)の妻

 が、非配偶者間人工授精(Artificial Insemination by Donor=AID)、すなわち、第三者

 から精子提供を受け妊娠・出産した子について、その子は夫の子であると推定されると判断し

 ました。

   つまり,元生物学的女性で生殖能力がないことが明らかな夫であっても,法的に夫となることができる以上,戸籍上実父にもなるとの判断を出したものです。

(2) 実は,日本における非配偶者間人工授精(AID)は,既に不妊治療として昭和23年に始

 められており,昭和24年には第一号のAIDによる子が出生しています。そして,以降,平

 成11年までの間に少なくとも約1万人から数万人の非配偶者間人工授精による子が出生しているといわれています。

  通常、性別変更を経ていない夫(生まれたときから生物学的男性)と婚姻している妻が、婚

 姻中にAIDにより妊娠し出産した子は,夫の同意を得て夫の子として 出生届が出されるこ

 とになりますが,この場合,妻が婚姻中に懐胎した子は夫の子と推定されるという民法上の規

 定(嫡出推定、民法772条1項)が及ぶため,血縁関係はなくとも、この夫が子の父として

 戸籍に記載される戸籍実務となっています。

(3) 今回の決定は、性同一性障害により性別変更審判を受けていた夫(元女性)の事案であって

 も,生来的な生物学的男性と同様の扱いを認めた判断となっています。今回の最高裁の決定は

 生来的な生物学的男性の妻がAIDにより出産したケースについて何の判断もしていません が今までの実務どおり、妻がAIDにより出生した子は、夫の子として届け出られれば、受理される実務が継続されるものと思います。

(4) もっとも、今回の決定は、戸籍の届け出の場面についての判断であり、AIDにより出生した子について、父親から親子関係不存在確認訴訟等で親子関係を争う場面で、親子関係をどのように判断するかについては、未だ確定した判例はない状況です。

    近年の不妊治療の医療技術やDNA鑑定技術の発達は、現行民法の想定していなかったものであり、医療技術に法整備が追い付いていないといえ、今後、新たな法整備の議論が高まっていくものと思われます。

 

<この記事に関するお問い合わせ先>

 弁護士 西田 恵

         TEL:06-6202-3004

         E-mail:m-nishida@yglpc.com

 

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・発行者:弁護士法人淀屋橋・山上合同

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