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YGLPCメールマガジン第26号(2014年7月31日発行)

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         弁護士法人淀屋橋・山上合同

 

        ★ YGLPCメールマガジン第26号 ★

 

  〜 知財判例紹介(医薬品) 

                                         その他2記事〜

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             今号の目次

 

 1. 知財判例紹介(医薬品)

知財高裁大合議体が、審査基準通りの運用をした特許庁の審決を取消し、特許権の存続期間延長登録に関して、薬事法に基づく承認を受けることによって禁止が解除される範囲を、成分、分量、用法、用量、効能、効果によって特定される医薬品の製造販売等の行為であると判示しました。

 

 2. 株主総会の開催時期の分散に関する動向

      ―株主総会がなぜ6月に開催されるのかについて考えてみたいと思います―

 

3. インコタームズ2010についての一考察(2)

    ―前回に引き続き、インコタームズ2010について、契約書作成の観点から若干検討したいと思います―

 

 

過去のバックナンバー

 https://www.yglpc.com/wp/mailmag/index.html

 

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【知財判例紹介(医薬品)】

知財高裁大合議体が、審査基準通りの運用をした特許庁の審決を取消し、特許権の存続期間延長登録に関して、薬事法に基づく承認を受けることによって禁止が解除される範囲を、成分、分量、用法、用量、効能、効果によって特定される医薬品の製造販売等の行為であると判示しました。

 

本件は、医薬品に関する特許権4件を保有する原告が、特許権の存続期間延長登録の出願をしたところ拒絶審決を受けたため、審決取消を求めて知財高裁に提訴したところ、知財高裁が審決を取消し、新たな判断を示した事件です。原告は、先行する薬事法による医薬品の製造販売承認(本件先行処分)に基づく延長登録を既に受けていたのですが、その後用法・用量の異なる製造販売承認(本件処分)が得られたため、本件処分に基づく新たな延長登録出願を行っていました。

争点は、本件処分により実施が可能となった発明を、用法・用量が限定されていない本件特許発明と解すべきか、又は用法・用量が限定されている承認の処分を受けた発明と解すのかという点にありました。

  特許庁は審査基準の運用通り前者の判断を示しましたが、知財高裁は、存続期間延長登録制度を設けた特許法の趣旨に照らして、薬事法等の処分により実施が可能となった発明は、用法・用量が限定されている承認の処分を受けた発明と判示しました。

ちなみに、知財高裁に係属した事件のうち、早期の司法判断の統一が要請されるような重要な事案については、大合議体(通常は3人のところ、5人の裁判官から構成されます)によって裁判が行われることになります。平成17年4月1日に知財高裁が設置されて以降、大合議判決は9件しかなく、本件はそのうちの一つとして注目に値します。

【知財高裁平成25年(行ケ)第10195〜10198号】

 

<この記事に関するお問い合わせ先>

 弁護士 野 中 啓 孝

    TEL:  06-6202-4164

    E-mail: h-nonaka@yglpc.com

 

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【株主総会の開催時期の分散に関する動向】

 株主総会がなぜ6月に開催されるのかについて考えてみたいと思います

 

経済産業省などが3月期決算の上場企業に対して、株主総会を7月以降に開催することを促すとの報道がなされています。現在は、3月期決算の上場企業の株主総会のほとんどが6月下旬に開催されていますが、なぜ、6月下旬に株主総会が開催されているかについて考えてみたいと思います。

 

1 基準日について

3月期決算の上場企業では、権利行使の基準日を、3月末日としている例が多いと思います。そして、会社法では基準日の効力は、3か月以内とされていますので、基準日株主が権利行使をするために、定時株主総会は6月末日までに開催する必要があります。

しかし、会社法では基準日をいつにするかについては特に制限されていませんので、定款で基準日を定めている場合であっても、定款変更により、基準日を4月以降の日とすることが可能です。

 

2 決算期と基準日の関係

それでは、3月期決算の上場企業はなぜ基準日を3月末日としているのでしょうか。

定時株主総会では、3月末決算に基づいて剰余金の配当の決議がなされます。もし、決算期が3月末日の会社が、基準日を4月末日にすれば、4月中にその会社の株式を購入した株主は、その年の定時株主総会において議決権を行使し、配当を受け取ることができることになります。

しかし、配当は前営業年度における営業成績の決算に基づいて行われるものだとすれば、営業年度が終了した後に株主となった者が配当を受け取ってよいのでしょうか。定時株主総会において議決権を行使し、配当を受け取るのは、決算期において株主であった者とすべきではないでしょうか。基準日は決算期と同一とすべきとの考えの根底にはこのような考え方があると考えられます。

もっとも、こうした考え方に対しては、決算期を基準日とした場合と決算期より後の日を基準日とした場合では、株式を売却する際に、対価に将来の配当金額を含めるか否かという投下資本の回収方法に違いがあるに過ぎず、決算期と基準日は同一である必要はないとの有力な見解も示されているところです。

 

3 今後の動向

上記のように、基準日を4月以降にすることについては様々な考えがあり得るところです。また、上記の論点以外にも、有価証券報告書の提出や法人税の申告に関する論点も関連してくるところです。

報道によれば、経済産業省などは来月にも有識者会議を設け、来年3月までに報告書をまとめるとのことですが、これには各方面から様々な見解が出されることが予想されますので、動向を慎重に見守っていく必要があります。今後の動向についても、必要に応じて本メールマガジンなどを通じて情報提供をさせていただければと思います。

 

<この記事に関するお問い合わせ先>

 弁護士 田 中 達 也

    TEL:  03-6267-1235

    E-mail: t-tanaka@yglpc.com

 

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【インコタームズ2010についての一考察(2)】

 前回に引き続き、インコタームズ2010について、契約書作成の観点から若干検討したいと思います

 

 「インコタームズ(Incoterms)2010」について、前回、契約書作成の観点からポイントとなり得る点をご説明させていただきましたが、今回は、主要な条件であるFOB及びCIFについて、過去の契約書の実例を踏まえながら、若干の検討を行いたいと思います。

 

1 FOB(本船渡)

FOBとは、Free on Boardの略語であり、売主は、(1)指定船積港において買主によって指定された本船の船上で物品を引渡すか、又は、(2)既にそのように引渡された物品を調達する義務を負います。そして、FOBにおいては、費用負担の移転時期と危険負担の移転時期が一致します。

FOBにおいて売主が負担する「既にそのように引き渡された物品を調達する義務」という考え方は、インコタームズ2010で初めて導入されたものですが、これは、輸送中の貨物が、鎖のように続いて数度に亘って売買される「連続売買」の形態(売買の中間に介在する売主は、自らが売却する物品は既に船積みされているので、物品を「船積み」することはできません)を想定し、「既に船積みされた物品を調達すること」によっても売主としての義務を果たすことができるようにしたものです。

FOBにおいては、買主が傭船契約を締結しますので、売主としては、買主が契約上所定の船積時期に配船をしない場合に備え、追加で発生した倉庫料を買主が負担する旨の条項のほか、買主に対する催告等の手続によらずに、売主の選択により、船積時期を延長することや売買契約を解除することができる旨の規定を設けることが望ましいと考えられます。(逆に、買主としては、積地における滞船料(滞船料支払義務については、後述します。)が生じた場合には売主が負担すること規定することが望ましいと考えられます。)

なお、航空機輸送による場合にもFOBを貿易条件として定める契約書も散見されますが、FOBは「海上又は内陸水路輸送において使用されるべき」貿易条件であり、航空機輸送による場合は、FCA(運送人渡)を用いる必要があります。

 

2 CIF(運賃保険料込)

  CIFとは、Cost, Insurance, and Freightの略であり、売主は、(1)本船の船上で物品を引渡すか、又は、(2)既にそのように引渡された物品を調達する義務を負います。また、売主は、指定仕向港へ物品を運ぶために必要な契約を売主の費用にて締結し、且つ、運送中における物品の滅失又は損傷についての買主の危険に対する保険契約を締結する義務を負います。

  このCIFにおいては、費用負担の移転時期と危険負担の移転時期とが一致しません。したがって、船荷証券や保険証券等が重要な役割を果たします。

  CIF条件など売主が傭船契約を締結する場合には、分割船積が可能である旨を売買契約において定めることにより、売主は柔軟に船舶の手配をなすことが可能となります。

  また、揚地において荷役が遅れた場合、滞船料支払義務は傭船契約に基づき傭船者が負担するものですので、売主としては、売買契約において、揚地における滞船料を買主が負担することを定めておくことが望ましいと考えられます。

そして、このCIFについても、「海上又は内陸水路輸送において使用されるべき」貿易条件ですので、航空機輸送による場合は、CIP(輸送費保険料込)を用いる必要があります。

 

 今後も、インコタームズなど、英文契約書作成に当たってのいくつかの論点について、本メールマガジンを通じて、都度ご説明をさせていただきます。

 

<この記事に関するお問い合わせ先>

 弁護士 大 場 規 安

    TEL:  03-6267-1227

    E-mail: n-oba@yglpc.com

 

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・発行者:弁護士法人淀屋橋・山上合同

・発行日:平成26年7月31日発行

 

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