トピックス
2014年09月01日
YGLPCメールマガジン第27号(2014年9月1日発行)
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弁護士法人淀屋橋・山上合同
★ YGLPCメールマガジン第27号 ★
〜 経営者保証に関するガイドラインの活用事例について
その他3記事〜
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今号の目次
1. 経営者保証に関するガイドラインの活用事例について
2. 個人情報のお値段はいくらでしょうか?
3. シンガポール法・越境ヘイズ汚染法案の概要
4. セミナーのご案内
(1) アジア法セミナー「アジア諸国への進出・国際仲裁の実務」
(2) YGLPC連続セミナー「事業承継の実務」
過去のバックナンバー
https://www.yglpc.com/wp/mailmag/index.html
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【経営者保証に関するガイドラインの活用事例について】
中小企業が金融機関から借り入れを行う際には、しばしば経営者による
個人保証(経営者保証)が行われています。
これは、経営への規律付けや信用補完として資金調達の円滑化に寄与す
る面がある一方、経営者による思い切った事業展開や、保証後において経
営が窮境に陥った場合における早期の事業再生を阻害する要因となってい
るなど、企業の活力を阻害する面もあるなどの問題が指摘されているとこ
ろでした。
そこで、「経営者保証に関するガイドライン研究会」において、経営者
保証の契約時と履行時等における課題への解決策を具体化するため、中小
企業団体及び金融機関団体の関係者、学識経験者、専門家等の委員により
検討を行い、検討の成果として、平成25年12月5日に、経営者保証に関
する中小企業、経営者及び金融機関による対応についての自主的自律的な
準則である「経営者保証に関するガイドライン」と本ガイドラインに関す
るQ&Aを取りまとめました。
本ガイドラインは、法的拘束力はないものの、経営者保証を締結する際
には主たる債務者、保証人及び対象債権者によって、自発的に尊重され遵
守されることが期待されています。
本ガイドラインは、経営者保証締結時の対応として、
(1) 中小企業が経営者保証を提供することなく資金調達を希望する場合に
必要な条件の整理(債務者の情報開示方法や、対象債権者による停止
条件又は解除条件付保証契約、ABL(Asset Based Lending)、金利
の一定の上乗せ等の経営者保証の機能を代替する融資手法のメニュー
充実など)、
(2) やむを得ず保証契約を締結する際の保証の必要性の説明や適切な保証
金額の設定に関する債権者の努力義務、
(3) 既存の保証契約の適切な見直しの方法(特に事業承継時の後継者の保
証債務の承継、及び前経営者の保証契約の解除の基準)
等について規定しています。
また、保証債務の整理の際の対応として、
(a)経営者の経営責任の在り方、
(b)債務不履行時に保証人の手元に残す資産の範囲についての考え方、
(c)保証債務の弁済計画に含むべき条件、
(d)保証債務の一部履行後に残った保証債務の取扱いに関する考え方
等について規定しています。
前記のとおり、本ガイドラインは、法的拘束力のあるものではありませ
んが、中小企業や金融機関を始めとする経営者保証の関係者による本ガイ
ドラインの積極的な活用が期待されているところであり、今後、融資契約
に関する協議・交渉の場面では、一定の影響力を持つものと考えられます。
本ガイドラインの公表後、実際の活用事例の有無が注目されていたとこ
ろですが、地域銀行や信用金庫を中心として、活用事例が増加しており、
平成26年6月には、金融庁から、本ガイドラインを活用して、実際に経営
者保証を求めなかった例などについて、参考事例集が公表されています(以
下のリンクをご参照ください。)。
「経営者保証に関するガイドライン」の活用に係る参考事例集
(http://www.fsa.go.jp/news/25/ginkou/20140604-2.html)
当事務所では、このような動向も考慮した法的助言等を行っておりますので、
現在、新たな融資契約や、融資条件の見直し等を検討しておられる事業主様が
おられましたら、当事務所までお気軽にご相談ください。
<この記事に関するお問い合わせ先>
弁護士 花房 裕志
TEL: 03-6267-4165
E-mail: h-hanafuas@yglpc.com
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【個人情報のお値段はいくらでしょうか?】
本年7月、国内の大手通信教育事業会社において大規模な個人情報流
出事件が判明しましたが、同社のサービスを利用している私の家族にも、
お詫びのお手紙が届きました。
過去のお詫びの方法として、1人当たり500円相当の金券等を配布した
事例などが報道されていますが、実際に裁判に持ち込まれ、事業者の責任
が認められるケースでは、被害者には、どのような損害が認められるの
でしょうか。
被害者である個人を原告とする裁判例を見てみますと、
・1人当たり慰謝料3万円、弁護士費用5千円
エステティックサロンを経営する会社が提供を受けた氏名、住所、
電話番号、メールアドレス、職業、年齢、性別、そして関心を有する
コース名等をさほど困難なく把握できる情報がインターネット上で流
出した事件(東京地裁平成19年2月8日判決、控訴棄却)。
なお、2次被害等がなく、また会社から3千円の支払いがあった1名
については慰謝料は1万7千円。
・1人当たり慰謝料5千円、弁護士費用1千円
不正アクセスにより住所、氏名、電話番号、メールアドレス、ID等
が流出した事件(大阪地裁平成18年5月19日判決、500円の郵便為替
支払通知書の送付があったとして控訴審では500円を控除、その後上告
棄却・不受理)。
などがあり、損害額の算定には、
(1) 秘匿すべき必要性がどの程度高い情報が漏洩したのか、
(2) どのような二次被害があったのか
(3) どのような事後対応を行ったのか
などの諸事情が考慮されています。
個人情報を管理する事業者としては、こうした損害賠償の負担だけで
なく、お詫び状等の郵送代、問い合わせ対応費用、売上減少、信用毀損
その他の損失も無視できません。
今回の事件をきっかけに、社内の個人情報の管理体制、運用の実態に
ついて、見直しをされている事業主様からのご相談もございます。
個人情報の管理等についてご懸念等ございましたら、当事務所までお
気軽にご相談ください。
<この記事に関するお問い合わせ先>
弁護士・個人情報保護士 森 田 博
TEL: 06-6202-3542
E-mail: h-morita@yglpc.com
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【シンガポール法・越境ヘイズ汚染法案の概要】
2014年8月5日、シンガポールにおけるヘイズ(煙害)汚染を引き起こす等
した者に対する刑事責任及び民事責任を規定した越境ヘイズ汚染法案が、シン
ガポールの国会で可決されました。
本法案は、必ずしも日系企業に直接影響を与えるものではありませんが、
アジア内で問題視されている国境を越えた環境問題のうちのひとつですので、
その概要及び特徴を概観します。
次のコラム記事をご参照下さい。
コラム
https://www.yglpc.com/wp/column/201411.html
<この記事に関するお問い合わせ先>
弁護士 大 林 良 寛
E-mail: y-obayashi@yglpc.com
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【アジア法セミナー開催のお知らせ】
2014年10月16日(木)、10月24日(金)にアジア法セミナー
『アジア諸国への進出・国際仲裁の実務』をシンガポール所在の
Rodyk & Davidson LLPと共催で開催いたします。
詳細は以下のURLをご覧ください。
https://www.yglpc.com/wp/news/20140826.html
<お問い合わせ先>
TEL: 06-6202-3355(担当:坂尾)
E-mail: asia_seminar@yglpc.com
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【YGLPC連続セミナー開催のお知らせ】
『事業承継の実務』
当法人において、「YGLPC連続セミナー」を定期的に開催させていただいて
おりますが、第4回として、平成26年10月8日に、「事業承継の実務」をテ
ーマとして、当法人の上甲悌二弁護士及び蜷川敦之弁護士がセミナーを開催
いたします。
上記セミナーの詳細・お申込みついては、以下よりお願いいたします。
お気軽にご参加ください。
https://www.yglpc.com/wp/news/20140114.html
<上記セミナーに関するお問い合わせ先>
弁護士 蜷 川 敦 之
TEL: 06-6202-4163
E-mail:a-ninagawa@yglpc.com
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・発行者:弁護士法人淀屋橋・山上合同
・発行日:平成26年9月1日発行
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