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YGLPCメールマガジン第52号(2017年11月8日発行)

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         弁護士法人淀屋橋・山上合同

        ★ YGLPCメールマガジン第52号 ★

 【どう変わる!?民法(債権法)改正】

  民法(債権法)改正のうち「意思表示」に関する規定の改正による実務的影響

                                            その他2記事~

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            今号の目次   

 1.どう変わる!?民法(債権法)改正
   民法(債権法)改正のうち「意思表示」に関する規定の改正による実務的影響

 2.芸能人と労働基準法・独占禁止法
     フリーランス人材の法的保護はどうなるか?!

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 過去のバックナンバー
  https://www.yglpc.com/wp/mailmag/index.html

 

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1.どう変わる!?民法(債権法)改正

1)民法総則(意思表示)の改正

 民法の一部を改正する法律(「平成29年法律第44号)は,主として民法の「第三編 債権」を改正するものですが,「第一編 総則」も一部改正されます。

このうち,「意思表示」に関する規定(民法93条~98条の2)の改正によって実務にどのような影響があるでしょうか。

2)民法93条(心裡留保)について

民法93条(心裡留保)の改正は,相手方の認識の対象が「真意」から「真意ではないこと」になることと,第三者の保護要件は「善意」で足り,無過失を要求しないことを明記した点ですが,実際には,改正の影響はほとんどないと思われます。

3)民法95条(錯誤)について

  民法95条(錯誤)は,かなり議論を重ねた結果,規定の文言を大幅に改正して,錯誤には,「表示の錯誤」と「動機の錯誤」の2類型があることを明示してそれぞれの要件を具体化するとともに,法律効果を「無効」から,「取消し」に変更し,また重過失がある場合の規律を整理しました。

   しかし,実務上は,動機の錯誤の主張はしばしばされるものの,判決ではほとんど認められませんので,成立要件や重過失がある場合の規律に関する改正の影響は大きくないと思われます。

4)民法96条(詐欺)について

 民法96条(詐欺)に関する改正点は,第三者による詐欺の成立要件と,詐欺取消しの効果を受ける第三者の保護要件ですが,これらの改正は,実務上,相応の影響があると思われます。

また,明文の規定による改正が見送られた「媒介受託者による詐欺」という論点についても注意が必要です。

5)民法97条(意思表示の効力発生時期等)について

 民法97条(意思表示の効力発生時期等)に関しては,相手方が正当な理由なく意思表示の通知が到達することを妨げたときは,その通知は,通常到達すべきであった時に到達したものとみなす規定が新設されました。

この点は,取引基本契約書等に影響するので,実務上極めて重要と思います。

 具体的な影響など詳細は,当弁護士法人のホームページに掲載した下記コラムをご覧ください。

 → https://www.yglpc.com/wp/column/201710_940/

 

<この記事に関するお問い合わせ先>

 弁護士 阪口 彰洋
 TEL:06-6202-3320  
 E-mail:a-sakaguchi@yglpc.com

 

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2.芸能人と労働基準法・独占禁止法

  ~フリーランス人材の法的保護はどうなるか!?~

1)芸能人は「労働者」か?

 今年は,SMAP,能年玲奈(のん),ローラなどの大物芸能人と芸能プロダクションとの間のトラブルが特に大きく取沙汰された年でもあり,特に中では「奴隷契約」などと連日の報道で揶揄される始末となったものもありました。

 業界では,より芸能人の権利を保護するべきだという観点から,芸能人とプロダクションとの間の契約の見直しを行うべきだという声もあがっています。

 芸能人とプロダクションとの間の関係を考えるに当たって大きな問題となるのは,そもそも,芸能人は「労働者」なのか?ということです。労働基準法の「労働者」であると言えるのであれば,労働基準法が適用されることになり,契約内容が大きく規制されることになります。

 労働基準法9条によれば,労働者とは,「事業又は事務所に使用される者で,賃金を支払われる者」をいうとされています。これに当てはまるかどうかは,使用性(使用者の指揮命令下における労務提供の有無)と賃金性(報酬の労務対償性)の要素から判断され,その他の要素も補強要素として考慮されると考えられています。具体的には,仕事の依頼をどれだけ自由に断れるようになっていたか,仕事中の指揮監督がされていたか,勤務時間や場所の拘束性があったか,他人により容易にとって代われるような仕事か,報酬が仕事時間の長さに応じて決まるか否か,専属的かどうか,などをみるのです。

 一口にいっても芸能人といっても様々であり,大物演歌歌手であれば嫌な仕事が来たら断るでしょうが,駆け出しのアイドルであれば安くてしんどい仕事であっても受けることでしょう。また,マネージャーに細かく指示を受けるどうかも,両者では異なります。そうすると,結論として,芸能人の中には,「労働者」に該当する人とそうでない人が混在しますが,一般的には,いわゆる「大物」になればなるほど,労働者に当たらない可能性が高い,ということができます。

2)労働者に当たらない芸能人の契約は全く規制にかからないのか?

 では,労働者に当たらない大物芸能人とプロダクションとの間の契約は,何ら法的規制にかからないのかというと,そういうわけではありません。

 このような大物芸能人とプロダクションとの関係には,いわゆる独禁法(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律)が適用される余地があります。独禁法は,公正な競争を阻害するおそれがある行為を類型化して「不公正な取引方法」として規制しており,例えば,プロダクションが個人の「事業者」である大物芸能人に未来永劫他事務所に移籍できないような内容の契約を強要しているとすれば,それは不公正な取引方法として,独禁法に反する可能性があるのです。

 とはいえ,独禁法は労働基準法とは規制の観点を異にしますから,結局,「労働者」なのか,「事業者」なのかで結論が異なってくる,という事態は有り得ます。

3)芸能人やフリーランス人材の保護に関する今後の展開は?

 実は,この手の,「ある人材を労働法で保護するのか,独禁法で保護するのか?」という議論は,今とてもホットトピックになっています。芸能界にかかわらず,ITやスポーツなどにおけるフリーランス人材は,日々重要性を増してきており,今年の7月12日には,公正取引委員会が「人材と競争政策に関する検討会」を立ち上げました。既に,8月,9月,10月と3回にわたって有識者による議論が交わされたようであり,議事要旨や参考資料は以下のウェブページで公開されています。

 http://www.jftc.go.jp/cprc/conference/index.html

 今後,契約関係をどのようにしているかも含め,フリーランス人材の法的保護は新たな展開を見せる可能性もあり,注目していく必要があるといえそうです。

 

<この記事に関するお問い合わせ先>

  弁護士 増山 健
  TEL: 06-6202-8536
   E-mail: ken-masuyama@yglpc.com

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3.セミナーのお知らせ 『ビッグデータ時代のデータ利活用の法務』

 2017年11月14日(火)にセミナー『ビッグデータ時代のデータ利活用の法務』を開催いたします。
講師は弁護士 藤川 義人、大林 良寛、伊藤 太一、増山 健、杉本 喬です。
詳細は以下のURLをご覧ください。

https://www.yglpc.com/wp/wp-content/uploads/2017/10/20171114.pdf

 

<お問い合わせ先>

 TEL: 06-6202-3448(担当:松田・西川)
 Email: seminar@yglpc.com

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