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YGLPCメールマガジン第8号(2012年3月30日発行)

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★ YGLPCメールマガジン第8号(2012年3月30日発行)
〜職場のパワーハラスメント」の予防 その他4記事 〜
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                      発行者:弁護士法人淀屋橋・山上合同

            今号の目次
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1.労働法最前線

  (1) 「職場のパワーハラスメント」の予防

  (2) 個人事業者でも「労働者」?

  (3) 特別加入の労災補償の範囲について

 

2.株主の方!必読!

  株式の「公正な価格」とは?

 

3.書籍のご案内

  Q&A自治体の私債権管理・回収マニュアル

  過去のバックナンバー
  https://www.yglpc.com/wp/mailmag/index.html

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【労働法最前線(1)】「職場のパワーハラスメント」の予防

 

 平成24年3月15日、厚生労働省は、同省の「職場のいじめ・嫌がらせ問題

に関する円卓会議」が取りまとめた「職場のパワーハラスメントの予防・解決

に向けた提言」を公表しました。

 

 職場のパワーハラスメントは、職場環境を悪化させ、心身の健康や命を脅か

す危険性がありますので、職場のパワーハラスメントは、今後企業が取り組ま

なければならない重要課題です。

 

 今回の提言は、職場のパワーハラスメント対策のための参考となるものです

ので、ご紹介する次第です。

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000025370-att/2r9852000002538h.pdf

 

 今回の提言が指摘するように、(a)職場で日常的に行われている業務上の指

導や注意が、適正な範囲を超えると、相手を深く傷つけてしまう場合がありま

すし、(b)働く人の誰もがパワーハラスメントの当事者になり得ますので、注

意が必要です。

 

 具体的な取り組みとしては、企業のトップ自らが模範となってパワーハラス

メント防止に取り組む姿勢を示すこと、管理職は、自らのみならず部下にもパ

ワーハラスメントをさせないよう管理することが求められます。

 

 他方で、提言は、必要な指導や注意が適正に行われなくなることについて懸

念を表明しています。

 

 実務において適正な指導かそうで無いかの判断には困難が伴いますが、少な

くとも指導や注意をするにあたっては、「事柄」を中心に行うべきであり、人

格攻撃にならないよう注意する必要があります。

 

<この記事に関するお問い合わせ先>

弁護士 白石 浩亮

 TEL:  06-6202-3324

 E-mail: k-shiraishi@yglpc.com

 

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【労働法最前線(2)】個人事業者でも「労働者」?

 

 業務委託契約を締結して、音響機器の修理等を委託してきた個人事業者が加

入した労働組合からの団体交渉申入れを会社が拒否したところ、中央労働委員

会がこれを不当労働行為に該当するとして救済命令を発したのに対し、東京高

等裁判所が「個人事業者は労働組合法上の『労働者』に該当しない」と判断し

て救済命令を取り消した事案において、最高裁は、当該個人事業者の業務実態

からして、独立の事業者としての実態を備えていると認める特段の事情が無い

限り、労働組合法上の「労働者」に該当するとの判断を示し、本件において上

記特段の事情があるか否か等を審理させるため、本件を東京高等裁判所に差戻

しました(ビクターサービスエンジニアリング事件・最判平成24年2月21日)。

 

 本判決において、最高裁が、労働組合法上の「労働者」性を判断する上で重

視したのは、

(a) 企業組織への組入れの有無、

(b) 契約内容の一方的決定の有無、

(c) 報酬の労務対価性の有無、

(d) 会社から依頼された業務の諾否の自由の有無、

(e) 業務遂行への指揮命令関係の有無・時間的・場所的拘束性

の点です。

 

 このような事情が認められる場合には、独立の事業者としての実態を備えて

いると認める特段の事情が無い限り労働組合法上の「労働者」に該当するとさ

れました。

 

 これと同様の判断は、当法人メールマガジン第1号(2011年8月11発行)

でご紹介した最判平成23年4月12日に出された2つの最高裁判決(新国立劇

場運営財団事件、INAXメンテナンス事件)で示されていたところですが、本判

決で、改めて同様の判断基準が確認されました。

 

 なお、4月12日の2つの最高裁判決を踏まえ、平成23年7月に、厚生労働

省労使関係法研究会から「労働組合法上の労働者性の判断基準について」と題

する報告書が出されていますので、ぜひご覧ください。

 

ビクターサービスエンジニアリング事件

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=82015&hanreiKbn=02

 

労使関係法研究会報告書

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001juuf.html

 

<この記事に関するお問い合わせ先>

弁護士 花房 裕志          

 TEL: 06-6202-4165  

  E-mail: h-hanafusa@yglpc.com

 

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【労働法最前線(3)】特別加入の労災補償の範囲

 

 最高裁は、労災保険に特別加入していた建設業の事業主が、受注を希望して

いた工事予定地へ下見に行く途中で事故により死亡した事案において、事業主

がその使用する労働者を個々の建設現場における事業にのみ従事させ、営業等

の事業に従事させていないときは、当該営業等の事業について労働者災害補償

保険の特別加入の承認を受けることはできないと判断しました(最判平成24

年2月24日)。

 

 すなわち、最高裁は、まず、かかる営業業務(下見)は従業員の業務とされ

ておらず、専ら事業主がしていたことを認定した上で、建設業においては「個々

の建設等の現場における建築工事等の業務活動と本店等の事務所を拠点とす

る営業、経営管理その他の業務活動とがそれぞれ別個の事業であって、それぞ

れその業務の中に労働者を使用するものがあることを前提に、格別の保険関係

が成立するものと解される」ため、労働者を営業等の事業に従事させていない

場合、保険関係の成立する余地がないから、事業主の遺族は特別加入の承認を

うけることができないとしました。

 

 マイナーな論点ですが、要するに特別加入していても、社長だけが従事して

いる業務においては労災保険の対象たりえないという判断ですので、実務上参

考になると思われます。

 

<この記事に関するお問い合わせ先>

 弁護士  渡邊 徹 

 TEL:   06-6202-4460

 E-mail: t-watanabe@yglpc.com

 

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【株主の方!必読!】株式の「公正な価格」とは?

 

 自己の株式を当該株式を発行した会社に買い取ってもらう場合、その買取価

格がどのような基準で決定されるかご存知ですか。

 

 例えば、持株会社(ホールディングカンパニー)を設立する場合に用いられ

る株式移転(1又は2以上の株式会社がその発行済株式の全部を新たに設立す

る株式会社に取得させることをいい、結果として、従来の株式会社は新設会社

の完全子会社(100%子会社)となります。)を行う場合、従来の会社の一

定の株主には自己の株式を買い取ってもらう権利が与えられますが(会社法8

06条)、同条には「公正な価格」で買い取ることを請求できると規定されて

います。

 

 しかし、「公正な価格」がいくらかについてはよく争いになります。

 

 この点に関し、平成24年2月29日、興味深い最高裁判例が出ました。

 

 最高裁は、株式移転により企業価値の増加が生じる場合、「公正な価格」は、

原則として、(a)株式移転計画において定められていた株式移転比率(従来の

株式会社の株式1株当たり新設会社の株を何株割り当てるかの比率)が公正な

ものであったならば(b)当該株式買取請求がされた日においてその株式が有し

ていると認められる価格をいうと判示しました。

 

 その上で、上記(a)につき、相互に特別の資本関係がない会社間において、

一般に公正と認められる手続により株式移転の効力が発生した場合には、特段

の事情がない限り、当該株式移転における株式移転比率は公正なものとみるの

が相当であると判示し、上記(b)につき、当該株式移転が公表された後の株式

買取請求がされた日における市場株価を用いることには合理性があると判示

しました。

 

 この最高裁判例により、株式移転により企業価値の増加が生じる事案におい

て、何が「公正な価格」なのかという難しい判断が求められる事項について、

一定の判断基準が提示されたといえ、実務上参考になると思われます。

 

<この記事に関するお問い合わせ先>

弁護士 佐藤 康行   

  TEL: 06-6202-3460

  E-mail: y-sato@yglpc.com

 

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【書籍のご案内】Q&A自治体の私債権管理・回収マニュアル

 

 大林良寛弁護士及び森田博弁護士が編集・執筆に参加した『Q&A自治体の

私債権管理・回収マニュアル』が株式会社ぎょうせいより出版されました。

 

http://shop.gyosei.jp/index.php?main_page=product_info&products_id=7430

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 ・発行者:弁護士法人淀屋橋・山上合同
 ・発行日:2012年3月30日発行

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