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YGLPCメールマガジン第45号(2016年10月5日発行)

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        ★ YGLPCメールマガジン第45号 ★

 【労働法最前線】

  禁止される「正社員」と「契約社員」「嘱託社員」の労働条件の
  相違について(2)
          その他1記事〜
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            今号の目次

     1.労働法最前線

  禁止される「正社員」と「契約社員」「嘱託社員」の労働条件の相違に
  ついて(2)

 2.近時の知財裁判例情報

  応用美術に関する知財高裁の新たな判断〜TRIPP TRAPP事件〜

  過去のバックナンバー
 http://www.yglpc.com/mailmag/index.html

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【労働法最前線】

禁止される「正社員」と「契約社員」「嘱託社員」の労働条件の相違について(2)

1. メールマガジン第43号で内容を一部ご紹介したハマキョウレックス事件
  について、控訴審の判決(大阪高判平成28年7月26日労判ジャーナル
  54号2頁)が言い渡されましたので、ご紹介いたします。

2. 雇用期間の定めの無い社員と雇用期間の定めのある社員の労働条件の相
  違に関しては、労働契約法(以下「労契法」といいます。)20条が、雇用
  期間の定めがあることを理由とする雇用期間の定めの無い社員との不合理
  な労働条件の相違を禁止しています。
   不合理かどうかの判断にあたっては、労働者の業務の内容及び責任の程
  度(以下「職務の内容」ということがあります。)や、当該職務の内容及び
  配置の変更の範囲その他の事情を考慮するとされています。

3. この点、ハマキョウレックス事件の控訴審判決は、以下のように判断をしました。

(1)「労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度」とは、
  労働者が従事している業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度のことをいうと
  解釈すべきである。

(2)「当該職務の内容及び配置の変更の範囲」とは、
  今後の見込みも含め、転勤、昇進といった人事異動や本人の役割の変化等(配置の
  変更を伴わない職務の内容の変更を含む。)の有無や範囲をいうと解釈すべきである。

(3)「その他の事情」とは、合理的な労使の慣行等の諸事情をいうと解釈すべきである。

(4) 労契法20条の不合理性の判断は、
  有期契約労働者と無期契約労働者との間の労働条件の相違について、職務の内容、
  当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、個々の労働条件ご
  とに判断されるべきものである。

(5) 労契法20条に違反する労働条件の定めは無効というべきであり、同条に違反する労
  働条件の定めを設けた労働契約を締結した場合には、民法709条の不法行為が成立し
  得る。

(6) 本件の場合、無事故手当、作業手当、給食手当、通勤手当については、労契法20条に
  違反して無効であり、不法行為を構成し、会社は不支給額について損害賠償責任を負う。
   他方で、住宅手当及び皆勤手当については、正社員のみに支給することが不合理である
  とはいえず、労契法20条に反するものではない。

4. 本件は、公刊されている裁判例の中では、労契法20条に関する初めての高裁レベルの判
 断であり、実務上への影響も大きいと考えられますので、ご紹介する次第です。
  なお、メールマガジン第43号でご紹介した長澤運輸事件についても、東京高裁で控訴審
 が係属しています。東京高裁の判決が言い渡されれば、東京・大阪の両高裁の判断が出揃う
 ことになり、労契法20条に関する実務上の方向性が定まるものと思われます。
  その後は、両判決を参考にした労務管理を行っていくことが求められることが予想されま
す。

<この記事に関するお問い合わせ先>
  弁護士 白 石 浩 亮
  TEL: 06−6202−3324
  E-mail: k-shiraishi@yglpc.com

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【応用美術に関する知財高裁の新たな判断】

1.知財高裁は、平成27年4月14日、従前の応用美術の概念を覆す判決を出しました。
 (以下、「TRIPP TRAPP事件」といいます。)

2.そもそも「応用美術」とは、欄間等、実用に供され、あるいは産業上の利用を目的と
 する表現物を指します。
  応用美術は、それが実用に供され又は産業上の利用を目的とするものであることから、
 安易に著作物性を認めてしまうと、日常生活において様々な問題を招きかねないため(例
 えば、デザイン性の高い食器に著作物性が認められると、それを写真撮影し広告に利用する
 だけでも、複製権等侵害として、著作権侵害が成立してしまいます。)、従来、美的鑑賞の対
 象となるだけの美術性を有している場合等美的創作性が高い場合にのみ、著作物性が認めら
 れてきました。

3.しかしながら、TRIPP TRAPP事件においては、応用美術たる幼児用椅子に著作
 物性が認められるかが争点となり、知財高裁は、応用美術についてのみ高い創作性を要求す
 べき理由はなく、制作者の何らかの個性が発揮されていれば著作物性が認められると判断し
 ました。
  従って、今後、例えば、デザイナーズ家具を広告に使用する場合等に、上記判例に基づき
 それらのデザイナーから著作権侵害の主張がなされる可能性があります。
  その場合においても、仮に、自身が購入した応用美術品を展示する場合には、著作権法第
 45条1項により、展示が許容されたり、また、既に公衆の目に触れているような応用美術品
 については、著作権法第46条により、複製等が許容されたりする可能性があると考えられま
 す。
  上記判例後の応用美術に関する裁判例の集積が、未だ十分ではないため、応用美術品に対
 する著作物性が問題になった場合に、いかなる著作権制限規定を主張できるのかは、今後継
 続して注視していく必要があります。

<この記事に関するお問い合わせ先>
  弁護士 玉置菜々子
  TEL:06-6202-7552
  E-mail:nanako-tamaoki@yglpc.com

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・発行者:弁護士法人淀屋橋・山上合同
・発行日:2016年10月5日発行

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