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YGLPCメールマガジン第43号(2016年6月29日発行)

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         弁護士法人淀屋橋・山上合同

 

        ★ YGLPCメールマガジン第43号 ★

 

   〜労働法最前線

   −「正社員」と「契約社員」「嘱託社員」の労働条件の相違について−

                           その他1記事〜

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             今号の目次

           

1.労働法最前線

  〜「正社員」と「契約社員」「嘱託社員」の労働条件の相違について〜

 

2.医療法人のガバナンス〜平成27年医療法改正〜

 

過去のバックナンバー

 http://www.yglpc.com/mailmag/index.html

 

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【労働法最前線〜「正社員」と「契約社員」「嘱託社員」の労働条件の相違について〜】

 

 雇用期間の定めの無い社員と雇用期間の定めのある社員の労働条件の相違に関しては、労

働契約法(以下「労契法」といいます。)20条が、雇用期間の定めがあることを理由とする

雇用期間の定めの無い社員との不合理な労働条件の相違を禁止しています。不合理かどうか

の判断にあたっては、労働者の業務の内容及び責任の程度(以下「職務の内容」といいます。)

や、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮するとされています。

 今回ご紹介する長澤運輸事件(東京地裁平成28年5月13日判決LEX/DB25542651)

は、定年後再雇用され、定年前と同様にバラセメントタンク車の運転業務に従事していた乗務

員の賃金が、労契法20条に違反すると判断した事件です。本判決は、以下のように判断をし

ました。

(1)定年後再雇用された雇用期間の定めのある労働契約にも労契法20条は適用される。

(2)職務の内容並びに当該職務の内容及び配置の変更の範囲が同一である場合には、特段の事

情が無い限り、賃金の額に相違を設けることは、その相違の程度にかかわらず労契法20条

違反となる。

(3)本件の事案の下では、定年の前後を通じて、職務の内容並びに当該職の内容及び配置の変

更の範囲は同一である。

(4)定年後再雇用において職務の内容等に変更が無いのに賃金だけを引き下げることが企業一

般において広く行われているとは認められないし、財務状況や経営状況を勘案すると、定年後

再雇用制度を賃金コスト瀬圧縮の手段として用いることは正当化できない。高年法改正の目的

が年金と雇用の接続にあるとしても、それだけで、正社員と同じ業務に従事させながら賃金だ

けを引き下げることは正当化できないから、本件において特段の事情は認められない。

(5)労契法20条に反する労働条件は無効となる。

(6)正社員就業規則が原則として全従業員に適用されるところ、その例外である定年後再雇用

された者の賃金の定めが上記(5)のとおり無効となる結果、翻って定年後再雇用された者につ

いても正社員就業規則が適用されることになるから、正社員と同様の賃金を請求する権利を有

する。

 労契法20条の文言からすれば、上記(2)や(5)の判断には疑問があり、東京高裁の判断が待

たれる裁判例ですが、実務に与える影響は否定できません。少なくとも、職務の内容や当該職

務の変更及び配置の変更の範囲等について明確に区別して、労契法20条違反の疑いが生じな

いような制度設計をしておくことが重要です。また、本判決の上記(6)の判示事項からすれば、

雇用類型ごとに就業規則を作成し、当該雇用類型のみに同規則が適用されることを明確にして

おくことも有用と考えられます。なお、責任の程度の相違等を認めて労契法20条違反を認め

なかった裁判例として、ハマキョウレックス事件(大津地裁彦根支部平成27年9月16日判

決労判ジャーナル48号)があります。

 

<この記事に関するお問い合わせ先>

弁護士 白 石 浩 亮

TEL:  06−6202−3324

E-mail: k-shiraishi@yglpc.com

 

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【医療法人のガバナンス〜平成27年医療法改正〜】

 

 医療法は,医療法人に関する各種規定を設けていますが,平成27年9月に改正医療法が

成立・公布されました。

 今回の医療法改正の趣旨は,地域医療連携推進法人制度の創設と医療法人制度の見直し(

その具体的な内容は,(1)医療法人の経営の透明性の確保及びガバナンスの強化に関する事項,

(2)医療法人の分割等に関する事項,(3)社会医療法人の認定等に関する事項)ですが,今回

のメールマガジンでは,そのうち,「医療法人制度の見直し」の中の「(1)医療法人の経営の

透明性の確保及びガバナンスの強化に関する事項」についての改正について,ご紹介いたし

ます(なお,医療法人の経営の透明性の確保及びガバナンスの強化に関する事項についての

改正医療法は,平成28年9月1日に施行される予定です)。

 今回の改正の主な内容は以下のとおりです。

 

1.医療法人の機関設計について

  社団たる医療法人は,社員総会,理事,理事会及び監事を置かなければならず,また,

 財団たる医療法人は,評議員,評議員会,理事,理事会及び監事を置かなければならない

 ことが明文で規定されました。

 

2.社員・社員総会について

  社員総会は,医療法に規定する事項(理事・監事の選任・解任,定款変更,事業報告書

 の承認,解散の決議等)及び定款で定めた事項について決議をすることができることが規

 定されました。

  また,社員の権限として,理事の違法行為等の差止め請求,理事・監事等に対する追及

 の訴え,理事・監事の解任の訴え等が明文で認められることになりました。

 

3.理事・理事会について

  理事の義務として,忠実に職務を行う義務,法人に著しい損害を及ぼすおそれがある事

 実を発見したときの監事に対する報告義務,競業取引及び利益相反取引に関する規制が規

 定されるとともに,そのような義務に違反して医療法人に損害を与えた理事は,医療法人 

 に対して損害賠償責任を負うことが定められました。

  また,理事会の職務として,①医療法人の業務執行の決定,②理事の職務の執行の監督,

 ③理事長の選出及び解職が定められました。

 

4.監事について

  監事の権限として,理事会の招集請求や理事の行為の差止め請求が認められるとともに,

 監事の義務として,理事会への出席義務や報告義務,社員総会・評議員会の議案等の調査・

 報告義務等が新たに明文で規定されました。

 

 今回の医療法改正により,医療法人のガバナンスが強化されることになりますが,それに

伴い,医療法人内部の法的紛争が増えることが予想されますので,医療法人の関係者様にと

りましては,留意が必要であると思われます。

 

<この記事に関するお問い合わせ先>

弁護士 岩 本 文 男

TEL: 06−6202−3421

E-mail: f-iwamoto@yglpc.com

 

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・発行者:弁護士法人淀屋橋・山上合同

・発行日:2016年6月29日発行

 

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