弁護士法人 淀屋橋・山上合同

コラム

コラム

中国法

中国法:中国会社法の改正の概要~1人民元で会社設立?~

【執筆者】金 大燁

1.はじめに

 中国全国人民代表大会常務委員会は、2013年12月28日、第12期全国人民代表大会常務委員会の第6次会議において、中国会社法(原文:中華人民共和国公司法)の改正を可決し、2014年3月1日からの施行を決定しました。

2.改正の概要

 今回の改正は、一言でいうと、「会社資本に関する規制緩和」ということができ、具体的には、(1)最低資本金制度の廃止、(2)初回出資額及び払込時期に関する規制の撤廃、(3)営業許可証への払込済資本金の不記載、(4)験資証明制度の廃止、(5)現物出資比率の上限の撤廃、(6)株主の出資額の非登記化、です。以下、改正内容を個別に見て行きたいと思います。

3.個別の改正内容
(1)最低資本金制度の廃止

 改正前の会社法では、有限責任会社の場合3万人民元、一人有限責任会社の場合10万人民元、株式有限会社の場合500万人民元が最低資本金とされていました(有限責任会社―旧26条2項、一人有限責任会社―旧59条1項、株式有限会社―旧81条3項)。
 改正法においては、上記の最低資本金に関する規定が全て削除され、原則として、資本金1人民元から有限会社を設立することができるようになりました。ただし、他の法律、行政法規、国務院の決定に別途規定がある場合には、これに従うとされています(新26条、新80条3項)。

(2)初回出資額及び払込時期に関する規制の廃止

 改正前の会社法では、出資の払込時期及び払込額について、初回払込時に登録資本の20%以上の出資額を払い込まなければならず、その余は、会社設立の日から2年以内(投資会社は5年以内)に払い込まなければならない、とされていました(有限責任会社―旧26条1項、株式有限会社―旧81条1項)。
 改正法によって、初回出資額の制限及び払込時期の制限は撤廃され、会社定款において自由に決定できることとなりました。ただし、この点についても、他の法律、行政法規、国務院の決定に別途規定がある場合には、これに従うとされています(新26条、新80条3項)。

(3)営業許可証への払込済み出資金の不記載

 会社の営業許可証の記載事項から払込済み資本金が削除され、営業許可証に払込済み資本金が記載されなくなりました(旧7条2項、新7条2項)。

(4)験資証明制度の廃止

 改正前の会社法では、出資者が出資金を払い込んだ後、法に基づき設立された出資金払込検査機関の検査を受けて証明書を発行しなければなりませんでしたが(旧29条、旧84条3項)、かかる検査及び証明に関する規定部分が削除され、験資証明制度が廃止されました(新29条、新83条3項)。

(5)現物出資比率の上限の撤廃

 改正前の会社法では、現物出資を行う場合でも、金銭出資の比率は登録資本の30%を下回ってはならないとされていましが(旧27条3項)、かかる規定が削除され、現物出資比率の上限が撤廃されました。

(6)株主の出資額の非登記化

 改正前の会社法では、会社は、株主の氏名又は名称及びその出資額を登記機関に登記することとされていましたが(旧33条3項)、このうち、各株主の出資額が、登記事項から削除されました(新33条3項)。なお、株主の出資額は株主名簿の記載事項ともなっていますが、この点は変更されておらず、株主名簿には出資額が記載されます(新旧33条1項)。

4.改正の趣旨と今後の外商投資企業への影響

 今回の改正は、会社の最低資本、払込みに関する規制を緩和し、会社の設立や投資を促進することが趣旨と考えられます。
 もっとも、外商投資企業には、会社法の他、特別法として、いわゆる「外資三法」(「外資企業法」、「中外合資経営企業法」、「中外合作経営企業法」)とその実施細則等が適用され、外商投資企業には、別途、最低資本金や払込み時期に関する規制が設けられています。この点につき、今回の改正法においては、「法律、行政法規、国務院の決定」で別途規定がある場合にはそれに従うとされていますが、各部門が定める部門規章や地方法規が改正会社法と異なる定めを置いていた場合、その扱いに混乱が生じる可能性もあります。例えば、商務部「外国投資者の国内企業買収に関する規定」には、増資による方法で合弁会社を設立する際、外国投資者は、工商行政機関に合弁企業の営業許可証を申請するときに、増資部分の20%を下回らない金額を払い込まなければならないという規制が存在しますが、かかる規定は商務部の部門規章であり、今回の改正会社法(上記3(2))との関係がどのようになるのかは不明確で、会社登記管理条例などの手続規定とともに、今回の会社法改正の影響を受ける法令の整備が必要と考えられます。この点、外資三法については、既にその修正が第12期全国人民代表大会常務委員会の立法計画に組み入れられており、改正会社法の公布に先だって、2013年12月から、商務部が、外資三法に関する修正に関する公開意見の募集を開始されている状況で、今後、その動向を注視していく必要があります。

【参考URL】

(1) 改正会社法(中国全人代HP)
http://www.npc.gov.cn/npc/xinwen/2013-12/30/content_1821988.htm
(2) 外資三法に対する公開意見募集((中国商務部HP)
http://tfs.mofcom.gov.cn/article/as/201312/20131200417369.shtml

  • アクセス
  • メールマガジン
  • コラム
  • 報酬規定
  • Q&A