A氏が、会社の資金繰りに行き詰まりを感じて、いつも税務申告でお世話になっていたO税理士の紹介で、弁護士法人淀屋橋合同を初めて訪れたのはまだ梅雨のさなかのことであった。会社を閉めることはやむを得ない、しかし、永年働いてきてくれた従業員のことや、保証人についている自分や親族のことが気になって仕方がなかったA氏の質問にM弁護士は丁寧に答えていった。「従業員の方は、破産を申立すると同時に解雇することにしましょう。解雇予告手当分の資金は準備できますか?」「Aさんは会社の保証人になっておられるので、こちらも整理するとなるとご自身の破産についても考えないといけません。ご自宅をお持ちで担保に供されているようですから、ご自宅はあきらめないといけませんね」「ご親族については、会社とご自身の手続きがおちついてから考えましょう」準備に必要な書類についての説明や、そのフォーマットについても説明され、最後に必要な費用についての話になった。「この程度の規模の事件ですと、裁判所に予納するお金として、会社の方で150万、ご自身の方でも50万は必要です。その他申立に必要な印紙・郵券代といったものも必要になりますし、私どもへの報酬も必要となりますが、準備できますか?」予納金・・・破産するにもお金が必要なんだ。弁護士に払うお金以外に裁判所に納付して管財人に仕事をしてもらう為に必要なお金が必要なんだ。A氏は予想外に費用が必要になることを知りとまどった。「それだけのお金が準備できるかどうか・・・」不安げに話すA氏に対し、M弁護士は「予納金分だけでも準備できないと破産手続自体ができません。なんとかできないか再度検討してみて下さい」冷たいようだが、これもひとつの現実であった。数日後、再び相談に訪れたA氏は、先日別れた時よりも明らかにしっかりとした表情で「先生、なんとか200万準備しました。以前に独立した従業員が機械を買ってくれたんです。100万にもならないような古い機械だけど、それを買ってくれたんです。ですから、これで会社の方の破産手続きをお願いします」