弁護士法人 淀屋橋・山上合同

コラム

コラム

仮想通貨(暗号資産)等の相続

【執筆者】水井 大

 本コラムでは、仮想通貨(暗号資産)等の相続について取り扱う。別コラムで扱っている「仮想通貨(暗号資産)等に対する強制執行」の議論はもとより、仮想通貨等の相続のトピックにおいても、仮想通貨の保管場所ごとに議論を整理して検討することが適切である。

1.債務者自身のウォレットで仮想通貨を保管している場合

 いわゆる「タンス仮想通貨」として債務者が仮想通貨を保有していることがあり、すなわち、仮想通貨の秘密鍵の保管場所に応じて、自身のPCやスマートフォン上のソフトウェアウォレットで保管している場合や、専用のUSBデバイスなどの媒体によるハードウェアウォレットで保管している場合があることは、「仮想通貨(暗号資産)等の強制執行」のコラムでも述べたとおりである。
 そして、仮想通貨は、資金決済法上の定義に照らして、「電子機器その他の物に電子的方法により記録されている財産的価値」を有しているため、理論上、相続対象の財産になりうることについては明らかである。
 しかしながら、この保管方法の場合の特有の問題として、被相続人の仮想通貨の保管場所や秘密鍵情報について、相続人が知りえない場合が生じることが予想されるという点がある。
 このような場合には、実際上、相続人において金銭に換価処分する方法が無いことになるが、その場合に、理論上は、価値がなくなった資産を相続したものとしてゼロ評価するか、又は、それでもなお死亡時価格で相続されたものとするか(国税庁の藤井健志氏が平成30年3月23日に行われた参議院の財政金融委員会における答弁)は、議論があるところであって、実例報告が待たれるところである。

2.債務者が仮想通貨交換業者に仮想通貨を預託し仮想通貨交換業者のウォレットで保管している場合

 この点、資金決済法及びガイドラインのいずれにおいても、利用者の相続が発生した場合の仮想通貨交換業者の取るべき対応については、規律がなされていない。そのため、当該業者としては、利用規約等に依拠しつつ、個々別々の対応を行わざるを得ないことになる。ただ、基本的には、国内の仮想通貨交換業者の利用規約上、利用者の相続が発生した場合には、アカウント登録の取消事由になると規定しているのが大多数であって、また、概ね、代表相続人からの請求があれば金銭に換価した上で同人指定の銀行口座に返金する運用がなされている。
 例えば、コインチェック社は、HP上で、同社所定の相続届と必要書類を公開し、手続きの流れを説明している(https://coincheck.com/ja/info/faq_posts/30)。このように手続等を公開していない業者でも、多かれ少なかれ、同様の手続きに沿っていると思われる。
 そこで、相続人間で遺産分割協議を予定している場合には、一旦、代表相続人から仮想通貨交換業者に金銭換価を求め銀行口座に返金してもらい、預金又は現金として保管した状態で、遺産分割協議を行うことが望ましいと考えられる。

  • アクセス
  • メールマガジン
  • コラム
  • 報酬規定
  • Q&A